お薬のこと

お薬に関するメモやクリニカル・クエスチョンを中心に載せていきます。皆様の学習のヒントになれば幸いです。

AMR対策に実際になにするの?

さて、AMR対策について

抗菌薬の適正使用に具体的になにをしたらいいのか?

厚生労働省はアクションプランを発表しています。

<アクション方法>
2015 年 5 月の世界保健総会「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」を参考に
① 普及啓発・教育、
② 動向調査・監視、
③ 感染予防・管理
④ 抗微生物剤の適正使用、
⑤ 研究開発・創薬 
⑥ 国際協力

 

アクションの大枠として、6つあるんだけれど

4つだけ抜粋して書かせていただきます。


僕は、主に①の教育、啓発は僕らがブログやツイッターで発信しているだけじゃなくて、実店舗でもポスターを張ったり、
一緒に働いている人と話して、抗菌薬の使い方についてお互いにどう思っているかを共有することも大切だなって思っています。

①―1
抗微生物剤の適正使用(AMS):かぜ症候群の多くには抗菌薬は有効ではないこと、不必要な抗微生物薬の使用が薬剤耐性微生物の発生の温床になっていること
感染予防・管理(IPC):感染予防のためには咳エチケット・手洗いや予防接種(肺炎球菌、インフルエンザ菌、インフルエンザウイルス等)が重要であること
ワンヘルス・アプローチ:薬剤耐性に取り組むためには、医療や獣医療、畜水産、食品衛生などの分野における一体的な取組が重要であること
①-2
卒前教育
卒後教育、研修
国家試験
普及啓発・教育体制の確保

 

次に、

②の動向は、現実にどのくらいの抗菌薬が処方されているのか?現在の耐性菌がどのくらいあるのか?
病院だったら、院内の耐性菌率はどのくらいなのか、実態調査して対応していく強化方法もありますよね。


実際に、僕は今の店舗でどのくらい出ているのか?適正使用にどのくらい近いのか把握するために、平成29年度の4月~10月までと平成30年度の同時期の抗菌薬処方割合を出してみたのですが、結果として経口セフェム系の割合が増えてアモキシシリンなどが減っていました。
これでは、今回の診療報酬改定の意味があまりなしていないのではないかと落胆。
ここから僕らが出来ることは何か?模索していかねばなりません。

②-1
感染症発生動向調査(NESID)の強化
院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)の強化
医療関連感染症(HAI)動向調査に関する調査研究の推進
薬剤耐性に関する包括的なシンクタンク機能を担う組織の整備(「薬剤耐性感染症制御研究センター(仮称)」を国立感染症研究所に設立)
②-2
医療機関における抗微生物薬使用量(AMU)動向調査
抗微生物薬使用量(AMU)動向調査のリスク評価・リスク管理への応用
高齢者施設で処方される抗微生物薬の処方実態の把握


③地域における中小規模の医療機関の感染防止対策を支援するため、感染防止対策地域連携加算が創設され、「医療機関間の感染対策ネットワーク」が構築されつつある。
③ー1
感染予防・管理(IPC)の推進及び連携強化
検査機関と、医療機関地方自治体の連携体制整備
感染予防の推進
③-3
地域における薬剤耐性感染症(ARI) 集団発生対応支援
大規模集団発生に対する対応能力強化

 

④のマニュアルやガイドラインは最近活発に作成が行われていますよね。

しかしガイドラインというものは、必ずしも守らなければならない訳ではないですが、抗菌薬については、あまりにも除外されている薬の使用がなされてしまっていると懸念されています。 不適切な使用問題の結果が薬剤耐性菌ですから。

将来の人類への負の遺産になってしまう

④-1
抗微生物薬適正使用(AMS)の推進に資するガイドライン・マニュアルの整備
抗微生物薬適正使用(AMS)の推進のための診断、治療に関わる規制の検討
医療機関における抗微生物薬適正使用(AMS)体制の整備支援

 

このように様々な対応が考えられています

どこまで日本が、世界が現実的に行動できるのか

この啓発週間だけでなく、常に啓発していく必要性がある分野であると改めて感じさせられました。

 

参考;

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html

厚生労働省 AMR対策について