今回は小児急性中耳炎ガイドラインの勝手な読みこみです。
特に各医師の治療方針を否定したりするものではありません。
さぁいくね
目次
・反復性中耳炎ってなに?
・急性中耳炎ってなに?
・重症度を判定するときに用いる所見、スコア
・使用する薬剤
・各引用論文を抜き出してみた
反復性中耳炎ってなに?
- 単純性の急性中耳炎を繰り返す
- 滲出性中耳炎罹患児が急性中耳炎を繰り返す
<原因>
- 起因性では多剤耐性
- 鼻咽腔からの不十分な除菌
- 低い免疫応答
- その他:GERD(胃食道逆流症)→SR(システマッティクレビュー)ではPPIを用いたRCT(ランダム化比較試験)において有意差なし(Miura et al. 2011)PMID:22157391
<治療?予防?>
耐性化に対して→抗菌薬投与前には感受性菌の検査!!
欧米:肺炎球菌ワクチンの接種で予防しているんだって。
(オランダでのRCT7価蛋白結合型VS肺炎ワクチン多糖体ワクチン→有意差無しPMID:15687432)
漢方:十全大補湯
アデノイド切除術:RCTでは反復性頻度の低下無し、予防効果なし というのもるようです。
鼓膜切開術:日本の症例対照研究→反復性中耳炎の発症頻度低下に対して有意差無し(PMID:)
鼓膜換気チューブ:1年or1ヶ月の短期間留置で罹患頻度低下(甲野2007a.b)
急性中耳炎ってなに?
急性に発症した中耳の感染症で耳痛、発熱、耳漏を伴うことがあるもの
<菌>
2012年ベスト3:肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌
ここは国家試験の通りだね。
多施設間臨床研究2005年2月~2008年2月
肺炎球菌:PSSP(ペニシリン感受性肺炎球菌):35.5%
PISP(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌):37.2%
PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌):27.3%
耐性のあるものが、PISP+PRSPで65%もあるということか!!
インフルエンザ菌:BLNAS(βラクタマーゼ非産生ABPC感受性菌):29.8%
BLNAR(βラクタマーゼ非産生ABPC耐性菌):69.3%
BLPAR(βラクタマーゼ産生ABPC耐性菌):0.9%
BLNARって結構ありますな。。。耐性菌おおいですね
<治療>
①肺炎球菌
AMPC、CVA/AMPC > SBT/ABPC
AMPC、CVA/AMPC > CDTR-PI、FRPM
ニューキノロン系:STFX、TFLX(小児適応これのみ)、MFLX
点耳、ネブライザー:CMX
AMPC、CVA/AMPC
【重症度を判定する時に用いる所見、スコア】
①耳痛
②発熱
③啼泣、不機嫌
④鼓膜の発赤
⑤鼓膜の膨隆
⑥耳漏
⑦年齢(24カ月未満)
【使用する薬剤】
AMPC常用量:20-40㎎/㎏/日
AMPC高用量:80㎎/㎏/日 10日間
CAV/AMPC(1:14)
CAV/AMPC高用量:90/64.4mg/kg/日 10日間
CDTP-PI常用量:9mg/kg/日
CDTP-PI高用量:
各引用論文を抜き出してみたよ 気になったものだけね
AMPC vs CVA/AMPC:AMPCが有意だって 前向き観察研究 PMID:11909846
CAV/AMPC vs CXM-AX PMID:11422249
SBT/AMPC vs CAV/AMPC:RCT一重盲検→有意差なし PMID:16061111
CAV/AMPC 1日2回vs1日3回:有意差なし どっちもいいのかな? PMID:10768519
CAC/AMPC(高用量) vs AZM:CAV/AMPCの方が有意みたいだ PMDI:15933563 でもインフルエンザ菌にはAZMがAMPCと同等っていうのもあるみたいだよ→PMID:8878242
<あるメタアナリシス>PMID:12529165→2歳児未満、保育園児、鼓膜穿孔済→投与期間長い方が有効で、2歳児以上→短期間の方が有効なんだって
<35編のシステマッティク・レビュー RCT>
4日以上vs4日未満:4日未満は治療不成功のリスクが増加するようです
これは抗菌薬投与期間4日以上の根拠かな?
ざっと読んでみました。
ガイドラインってなんとなくの経験で作っているのかな?なんて以前は思っていたけれど、各論文の有意差などを考慮して作っているのですね。
【クリニカル・クエスチョン】なんで軽症の急性中耳炎は3日間経過観察なのだろう?どうしてこういうアルゴリズムになっているのだろう?
こういうのガイドラインは便利だけれど、一次資料を追えるときは追って一緒に批判的吟味をした方が、自分の考え方のに根拠がつくきっかけになるかもしれないね。
今回も読んで頂いてありがとうございました。
ただのガイドラインななめ読み?でした。 最初にも言ったけれど正しい診察診療治療は医師の指示に従ってね。とくに批判するものではありません。
参考:小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版 より